no title

「それで、僕に一体何を求めているの?」

ルーシーは言葉を返すことができず顔を真っ赤にして俯いた。

その場から立ち去るより全て握りつぶしてしまえばいい。

ルーシーは自ら手錠を断ち切って炎のように燃え盛る掌をぐっと開き、めいいっぱい息を吸い込んだ。

肺が粘土のような空気で満たされ、透明に澄んだ青い目を見開いたとき、その掌に一羽の紋白蝶がとまった。

ルーシーは、そっと蝶を空に放った。